プライベート飛行機のある生活

飛行機と私 箱崎順之

空に憧れて、空を駆けて行く…
松任谷由実が荒井由美だったころのヒット曲のフレーズである。私自身が空への憧れを実現したのは24歳の時だった。頼りない三角形のカイトにぶら下がり、始めて地面を蹴って舞い上がった時、全身で感じた浮遊感は 今でも忘れられない。煙とナントカは高いところに上がりたがる…と言われるが、私の中でくすぶり続けていた空への想いはその後20年以上も燃え続け、気がつけば自家用機のオーナーになっていた。

いつの間にか生活が飛行機中心になり、気がついたらこの原稿を書いている。 今までの様々な趣味でも同じ傾向はあったが、とりわけ飛行機の世界に入ってから知り合った友人の数はとてつもなく多く、嬉しいことに国際化もしている。飛行機を趣味にもつのだから医者や弁護士ばかりかというとそうでもない。 サラリーマンも多く、もちろんさすがにラインパイロットは少ないが、そのタマゴ達や固定翼/ヘリの事業用パイロットたちもいる。特に運行や整備を含めた航空関係の仕事に携わる仕事をしている友人たちは、私の貴重な情報源となっている。 そのうえ、少なくとも私の友人たちは趣味であれ仕事であれ、心強くも空への想いを持ち続けているようだ。

それほど強烈な願望をもたらす『空』という世界から、当分私も離れることはできそうもないだろう。インターネットのおかげで、最近では空の情報には事欠かない。天気や風、ノータムなどおそらく10年前とは比較にならない程の情報を、自宅で簡単に手にする事ができるようになった。それらの情報に支えられ飛びながらも、自分自身に常に言い聞かせながら生きてきた戒めがある。座右の銘というとおこがましいが、モットーと言ってしまえば簡単だ。「調子に乗らない」「油断しない」「無理をしない」そして「最後まで諦めない」だ。裏返す とこれが自分の弱点なのだ。最後の戒めは空の上で実現しない事を祈りたいが、受験などの際にはこれで救われた事が多い。残りの3つは私の場合、常に必要な戒めだ。

現在、年に何回かアメリカで計器飛行の訓練を続けているが、教官にいつも言われるのが『THINK AHEAD!』だ。常に先に考え手を打つ事。空へ舞い上がる前に地上で全て準備する。むろん、着陸の事はエンルートで、エンルートの事はクライム中に…という当たり前の事だが、悪天候の中の計器飛行の場合、 分かっちゃいるけどこれが難しい。実際の人生でも、これだけ事前に計画し行動していたら、もっと別の人生を歩んでいたかもしれないとも思う今日この頃である。